「あなたへのダイアリー」 梗概(あらすじ)

 梗概(あらすじ)

 今から二十七年前、父親が起こしたある事件がきっかけで故郷を追われた亮介は、その過去を忘れ去ろうと日本を飛び出し、紛争地帯の戦場カメラマンという危険な仕事に身を投じていた。そんな亮介がある日突然、医者から余命半年の宣告を受ける。仕事中に身体の異変を感じ、検査のために一時帰国していた時のことだった。

 医者は、入院して治療を続け、延命する選択肢もあることを亮介に告げたが、故郷を追われてからこれまで、たった一人で生きてきた亮介には、この世に未練など何もなかった。半年の余命を多少先に延ばしたところで、孤独な時間が無駄に長引くだけだった。亮介は、最後まで戦場カメラマンとして生きることを決意し、再び戦場へと向かった。

 亮介が自分の最後の仕事場として選んだのは、アフリカ中央部の紛争地帯だった。戦地に着いてすぐ、死に急ぐかのように無謀な取材を続けた亮介は、流れ弾を受けてケガを負ってしまうが、偶然訪れたマホバ族の村人たちによって助けられる。そして、そこで出会った、危険と隣り合わせの環境で懸命に生きる村の子供たちを通して戦争の悲惨さを伝えようと、亮介はその村で暮らし始めた。

 村で暮らし始めて二週間ほどが過ぎた頃、亮介は内戦で父親を亡くして以来、村の子供たちの輪に入ろうとしないティムという少年と出会った。ティムのことが気になった亮介は、『人の生まれ変わり』の話をしてティムを元気づける。亮介の想いが伝わり心を開いたティムは、亮介に「どこへも行かないで」と懇願する。亮介は、自分に残されたあとわずかな時間、最後までティムやこの村の子供たちと一緒にいようと思い始めていた。

 周囲の戦況は好転せず、マホバ族の村が相変わらず危険であることに変わりはなかったが、子どもたちとの幸せな毎日を送っていた亮介のもとに、ある日、日本から一通の手紙が届いた。それは、二十七年前、亮介がまだ十七歳だった頃の初恋の相手であり、亮介が生涯でたったひとりだけ愛した、牧村貴美子という女性からのものだった。懐かしさとやるせなさが交錯する中、この二十七年間、貴美子の幸せだけを祈り信じて生きてきた亮介は、その手紙の内容に驚愕する。

  牧村貴美子は、自分が十年以上も前に死んでいたことを亮介に知らせてきたのだった……。

~目次~

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